私の職場のフロアには、飲み物の自動販売機が2台並んでいる。
左側は缶とペットボトルの各種飲料。
右側は紙コップのコーヒーやココア類。
私は午後3時頃になるといつも、右側の機械で紙コップのコーヒーを買う。その機械は決済完了後にコーヒーを豆から挽き始めるという本格的なもの。抽出されてくるコーヒーはなかなかの味わいで、しかもコンビニのコーヒーより価格が安い。
「各種電子マネー対応」を高らかに謳っているその機械の前で、私は颯爽とiPhone7を取り出し、斜に構えながらモバイルSuicaで支払いを済ませる。
「ピピッ!」
ウイーン・・・
ザラザラザラ・・・
ガガガガガ・・・
機械がコーヒー豆を一定量測り出し、挽く。
時間をかけて抽出している。
私はいつもラージサイズを選ぶこともあり、抽出完了まで70〜80秒ほど待たされる。その待ち時間は電子表示板で正確にカウントダウンされるので、さほどストレスにはならない。
斜に構えながら、コーヒーを待つ。
・・・。
「ん?・・・ん?・・・あれ?」
誰かの変な声が聞こえてきた。
隣の自動販売機を見ると、知らない男性が電子マネーのセンサーにグイグイと自分のiPhoneを押し付けている。
彼「ん?ん?ん?」
どうやらその男性も電子マネーで飲み物を買おうとしているのだが、なかなかセンサーが反応してくれない様子。iPhoneをグルグル回転させながら何度も何度も押し付けて決済を試みている。
ああ・・・。そんな当て方じゃだめだよ・・・。
私が声をかけるべきか躊躇っているうちに、
「ピピッ!」
ガラガラ・・・ガターン
彼のiPhoneもなんとか反応してくれたようで、飲み物が出てきた。
・・・。
そのままスルーしようかとも思ったが、私は辛抱たまらず彼に声をかけた。
私「iPhoneは、このあたり。先っちょの方にチップがあるんですよ!」
彼「え、あ、そうなんですか。次回はそれでやってみます!」
見知らぬ男性は、なんだか嬉しそうに帰っていった。
そう。なかなかセンサーが反応しなかった時、彼はiPhoneの「背面の中心あたり」を何度も何度もセンサーに押し付けていたのだ。日本のおさいふケータイではガラケー時代から伝統的に機体の「背面の中心」を当てるのが定番スタイルだから、無理もない。でもiPhoneは米国生まれ。日本のおさいふケータイの常識は通用しない。
駅の改札やコンビニで「あれ?あれ?」ってなっている人がいたら、誰か声をかけてあげてほしい。
「iPhoneは 先っちょ当てて ピッピッピ!」
「なんなら垂直に当てるぐらいの方が反応いいですよ!」
ってね。
Apple Pay
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